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2003年5月15日

内閣総理大臣
小泉 純一郎  様

抗議文

 
 昨日、衆議院特別委員会にて有事関連三法案が可決しました。本日、衆議院本会議で可決させると聞いております。
 私たち障害者の生活は貴方の打ち出している構造改革によってなお苦しくなっております。貴方の言う構造改革は、軍事拡大福祉切捨て政策に他なりません。03年度の予算編成を見てもイージス艦2隻を建造するお金は1千4百億円×2と、膨大にもかかわらず私たちの生活のためのホームヘルプ事業費は2百80億円と、イージス艦に比べると10分の1にしか当たりません。また、私たちの生活の基礎となる障害者基礎年金はマイナス0.9パーセントで、生活保護においても同様の数字であり、仕事のできない私たちにとって大きな痛手になっております。貴方の言う国を守るというものは金融資本の防衛と労働者の合理化、徹底した弱いものいじめに他ならない政策です。
 有事関連法案の中には反戦の声を上げる国民の人権を無視した法案になっています。また、平時から個人の財産や地方自治体の所有物に対し、これを自衛隊が接収することも良しとされています。これを拒否すれば、重大な罪とされ、投獄されるのです。これでは戦時中の日本に逆戻りしてしまいます。
 貴方の言う有事とは何でしょうか。朝鮮民主主義人民共和国の脅威と言われますが、軍事費を比べて見ても桁が違い、日本は世界第2位の軍事大国であります。日本のH2ロケットにしても先端に積むものが爆弾であれば、十分ミサイルとして使用可能なものであります。また、原子力発電所は無数にあり、原子爆弾をH2ロケットに積むことも可能でありましょう。このように敵でもない国を敵とし、軍隊によって脅し、自分達の言うことを聞かせようとすることが決して許されるものではありません。
 私たち障害者は小さな頃から自己決定を奪われ、周りの人たちの都合にあわされ、生きざるを得ませんでした。朝鮮民主主義人民共和国の人たちが自分たちで決めた社会体制に対し、日本が口出しすることは、朝鮮の人たちの自己決定を奪うことになります。徹底した話しあいにより、お互い尊重すべきことは尊重し、対等な関係を作っていこうとするならば、このような法律はいらないと確信しております。それが、憲法第9条にも明記された戦争の放棄でありましょう。私たちは、人権無視の有事法に断固反対を表明します。早急に議案から下げることを望みます。

やまぐち障害者解放センター
代表  藤井 彰