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8・6ヒロシマ青空集会への連帯アピール
 

 私たちの歴史観  

 
 あの原爆が落とされて57年という日にちが過ぎてしまいました。毎年この日に、広島に来て平和の集会に参加していますが、今の自民党政府は、平和どころかますます軍事大国化へむけ変貌し続けています。2年前には、日米新ガイドラインをつくり、日米安保の具体的発動計画を開始しました。そして本年さらに、具体化させるため、有事法制を国会へ提出しました。
 57年前の原爆投下がなぜ起きたのかという総括がいっこうになされず、アジア太平洋戦争をアジア解放戦争といわんばかりに歴史をぬりかえようとする教科書改訂問題や、在外被爆者(広島や長崎で被爆し外国に帰っている人たち)の裁判について国は控訴し、補償しようとせず、新たな大東亜共栄圏をつくろうとしているようにみえます。8月6日この日の原爆投下は、日本がアジアの侵略戦争を開始しなければありえなかったことであり、アジアで2千万人の人たちを殺戮した結果であろうかと思います。
 このような侵略戦争を2度としないためにも、現在の有事法制関連法案を廃案、平和な国家づくりを目指さなければなりません。憲法9条は戦争放棄をうたい、国際的な問題について、武力を行使しないと決めたはずです。
 

 私たちは有事法に反対します  

 
 それにもかかわらず、昨年の9・11事件を突破口に、「テロ特措法」を強行採決し、米軍が行うアフガニスタンへの「報復戦争」へ自衛隊を派遣しました。このことは、実際に戦闘機に給油したり、弾薬を積んだりすることであり、実際の戦闘行為であります。国会の論議をみれば、実際に弾を撃つか撃たないかが、戦闘行為かどうかとなっているようです。実際に弾を撃たなくても、その手伝いをすること(後方支援)がなければ、実際の戦争は遂行できないわけであり、実際に戦争をしていることになります。つまり、人殺しをしているわけです。
 

 障害者として戦争に反対する  

 
 アフガニスタン空爆の際、難民として町から逃げられた人の映像が映し出されましたが、長い内戦により障害者となってしまった人たちは、あの戦闘機から落とされる爆弾の雨あられの中を逃げることもできず、ふきとんだ人も多くいるでしょう。そういう戦争に誰にでもウソとわかるような口実を掲げ、参戦するのはどうしても納得することができません。同じ障害者として、断固糾弾します。
 一人ひとりの人権を尊重する社会をつくろうとしたはずです。また一人ひとりが人権を守りあうことに責任を持つ社会を目指したはずです。いまほど、このことが問われていることはありません。
 私たち解放センターは、「アジア共同行動」に参加し、「憲法を活かす市民の会やまぐち」にも参加し、障害者の立場から障害者差別糾弾の原則で、あらゆる人たちが差別によって傷つけられることに反対し、平和社会を構築すべく、いろいろな取り組みをしてきています。今回の8・6のこの行動も、その一環としてあります。
 戦争は、新たな障害者をつくりだし、差別をつくりだします。人間の手によって、障害者をつくりだす行為の最たるものが戦争です。「人が人を殺す」このことは、もっとも命の危機に直面している私たちであるから、もっとも反対しています。
 

 障害者を取りまく状況  
 
 障害者政策に目を転じてみれば、橋本政権以降、行政改革の名の下、民間委託促進に拍車がかかり、介護保険導入によりさらに私たちの命は、国家保障でなく、資本に丸投げされていくような制度へと、変えられようとしています。
 介護保険は、自分で保険料を払い、それによって運営され、介護派遣業者との契約により、介護者が派遣されます。現在のところ、行政がかなり深いところまではかかわっていますが、トラブルが相次いでいます。なぜなら、業者によって、サービス内容も異なれば、運営の仕方も違います。
 また民事上の契約になるので、国の責任は薄くなります。本来国家予算のなかで、高齢者・障害者の介護はまかなわれてしかるべきです。それが憲法第25条の精神であると思います。
 また、地方自治体に介護保険の業務をまかせ、国はつくりっぱなしとなっています。このことをみても、国は憲法の条文を変えずに、条文に規定されている人権保障や、戦争放棄を次々と破壊しています。将来的には、障害者の制度(支援費制度)も、介護保険の中にいれこんでしまい、一本化するようなことも目標とされているようです。
 
 私たちの取りくみ  

 
 このような現状にあり、私たち解放センターは、グループホーム建設を推進し、介護を通じた人間関係づくりに努力しています。介護者会議や、施設交流会を、グループホームを拠点につくっています。介護者会議では、上は70代、下は10代の介護者が集まり、障害者の自立についてだけではありませんが、介護者同士の考えをぶつけあっています。施設交流会では、施設の障害者、地域の障害者、介護者みつどもえで話しをすすめ、施設のありようをどのようにかえていくのかについても話しあっています。このように、センターの進めるグループホーム建設は、人と人とのコミュミケーションを大事にしようとしています。(差別に反対する内容で)。
 小泉が進める構造改革は、より人々の団結を破壊し、資本への従属をより強固にするものにほかなりません。人間は使い捨ての部品ではありません。一人一人ばらばらにされた人たちを、われわれが進めるグループホームは、介護を通じた人間関係のあり方を形成する重要な武器として、創造してきました。このことは、小泉政権が進める有事法制に抗する活動として、考えてよいと確信しています。
 一人ひとりをばらばらにし、国家が支配する、このことによって、侵略戦争が可能なのです。過去のアジア太平洋戦争においても、国民がけん制しあうように、隣組制度(近所で監視しあうような組織)をつくり、戦争に反対するものを摘発するしくみをつくりました。
 人と人との信頼関係を破壊しつくしたところで、国が統治する、そのことだけではなく、差別排外主義(外国人を差別し排除すること)により、アジアへの侵略戦争が可能となっていったわけです。差別に反対し、団結することがこの有事法制に対抗する手段なのだと思っています。
 今夏期に、私たちがつくっているグループホームが、山口県の障害者プラン、山口市の障害者福祉計画に組みこまれるかどうかの決戦を迎えます。ここに集われている皆さんとともに、たたかいを勝利に近づけるように一緒にがんばっていきましょう。