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2000年5月31日

山口市長
佐内 正治  殿

要望書
 

 貴職障害福祉課におかれましては、日頃より障害福祉の推進にご尽カ賜り感謝申し上げます。
 私たちが組織しております「やまぐち障害者解放センター」では、全身性障害者が地域で当たり前に生活していくための必要な介護保障を求めていくための集まりです。他県市では重度障害者が自立するためのグループホームを設置しているところがありますが、当市でも公的なホーム設置が実現されますよう以下ご要望致します。

全身性重度障害者のための住宅の設置に関する要望について

<要望するにあたっての理由>

1.基本的な理念として、私たちが敢えて施設を出て、親元を離れて自立生活をしておりますのは、この世に生を享け、せめて人として有意義な―生を送りたいと願うところであり、この様に共同生活を営むことによって、―市民としての社会性を取り戻し、少しでも社会交流が出来ることを願うと同時に、同じ障害者の福祉向上のために役立ちたいと願うところであります。

2.近年調査してみますと、全国で重度障害者のためのグループホームは神奈川県で13ヵ所、他大阪府にも設置されており、他県でもその動きが見られます。また当県下では宇部市がこの設置について、98年に市議会で承認されていますが、まだ着工の段階に至っていないと聞き及んでいます。この様な情勢下において、他市に先駆けてその実現にご努カ戴けますようお願いいたします。

3.現在のところ、私たち4人が共同生活をしておりますが、その実態を申し述べまして共同住宅の必要性をご推察賜りたいと存じます。

(1)私たちの生活にはご承知のように介護が24時間体制でなければ成り立たないのでございますが、その介護者を捜すことに大変苦労しております。今のところ大学や街頭に出向いて介護希望者を募りながら何とか口―テーションを組み下記のように介護体制のやりくりをしております。また介護料につきましては厚生大臣承認の「生活保護他人介護加算料」のお金を出し合って内部規定を作り下記のように支払っております。

?午前中の介護は従来通りホームへルパーの訪問(週6日、午前3時間)を受け大変助かっておりますが、更に2人の介護者が同時に介護にあたっています。

?午後は13時から18時までセンターの事務室で各自が執務しています。

?18時から21時(夕食介護4人)は1人3時間を限度とし1,800×4人(夕食の準備は学生諸君で)

?23時から翌1時(夜間介護1人)翌朝8時までを単位として3時間1,800円

 このように共同生活を営むことによって、少人数でも介護者を確保出来るように工夫し、不安定ながらも協力して、最低限度の共同生活の維持に務めております。

(2)生活費につきましては現在の4人が障害年金から拠出して共同財政の形で食材・生活必需品・光熱費等を支出し現状ではどうにか賄うことが出来ています。

(3)現在はまだ4人で生活しておりますが、この中には既婚者がおり、現状のままでは同居できない状態でございますが、近い将来この配偶者を迎え入れて、5人から6人のグループとしての体制でホームを確保したいと思いますが、更に将来的には8人から9人の共同生活が可能な住宅を希望したいと思います。

4.夜間、就寝後の排泄は男性介護者1人に夜間介護のため宿泊してもらっていますが、夜間の介護者には休眠の部屋がなく、大変不自由をかけていますので、付帯条件としてぜひ休眠室が必要になってきます。従って各室に通じるコールボイス(インターホン)の設置が必要となります。

5.現在、施設に入居している障害者の中には自立したいと願っている人も数名おり、そのための自立の条件やその実態を体で学ばなければなりません。そのために必要な宿泊体験室を―室設けていただくことを併せてご考慮下さることをお願いいたします。

6.私たちの組織は任意団体であり、自立障害者を支援する会員制をとっておりますので、機関誌の発行や他会計と事務的な仕事を進めていかなければなりません。そのために専従の職員をおいてセンターの運営をしております。従って週1から2回の定例の会議をもっております。従って介護者も含めて、10名程度が入れる居間兼事務室も必要となりますので、この点もご考慮戴けるならありがたいと思います。

 以上、全身性重度障害者のための住宅の設置を要望するにあたりまして、私たちの自立の意図並びに生活維持に必要な最低限度の諸条件を理由として挙げて参りましたが、現在緊急な課題としてとして今借用しております長屋の住宅を大家さんの方から向後2年を目途に家屋を解体したい旨申し入れがありました(昨年10月)。そうしますと、私たちが大挙して他の民家を探すことは至難の業となります。どうか私たちの現状を御察し戴き、この公的な全身性障害者のための共同住宅の設置について、早急に御承認賜りますよう御配慮下さるようお願い申しあげます。なお御承認戴けた暁には、更にそのために必要な手続きや必要事項等につきまして御当局より私共に細かく御教示承りますよう―同、伏してお頂い申しあげます。